ひとことでいうと

マリンバは、音程を調律した音板をピアノの鍵盤のように並べ、振動の節に近い位置で吊り、マレットで打って演奏する体鳴楽器です。音板の下の共鳴管が振動を効率よく空気中へ放射します。ただし「マリンバ」という語は、メーカーのカタログに載る標準化されたコンサート楽器だけでなく、各地で受け継がれている複数の伝統も指します。

「マリンバ」の語源

「マリンバ」はアフリカ由来の名称で、中央・東・南部アフリカに広がるバントゥー諸語の関連語群に属します。「バントゥー語」という一つの言語があるわけではないため、すべての地域に共通する一語訳はできません。民族音楽学では、ma-を複数・集合を表す名詞クラスの接頭辞、-rimba/-limbaを木琴の一音、一枚の音板、ラメラ、または単音の木琴を表す語幹とする説明があります。この解釈では、多数のrimbaから成る楽器全体がmarimbaであり、単なる「棒」より「音板の集まり」「複数の音」に近い意味です。地域と言語によって、同系の語が木琴を指すことも、親指ピアノのようなラメラフォンを指すこともあります。

一本の線では語れない歴史

現代のマリンバが、ある一つの場所で単純に発明されたという説明は適切ではありません。調律した木の音板を持つ楽器は、アフリカやアジアに長い歴史があり、形が似ていることだけでは単一の発明者や伝播経路の証明になりません。

アフリカの木琴文化

アフリカに単一の祖先的な「アフリカ・マリンバ」があるわけではありません。サハラ以南の各地では、枠型、舟型、地面の穴を共鳴に使うもの、脚上に音板を置くもの、瓢箪共鳴器を持つものなど、多様な木琴が発達しました。それぞれに固有の名称、調律、合奏法、レパートリー、社会的意味があります。瓢箪共鳴器を持つ木琴では、一枚ずつの音板の下に調律した瓢箪を吊り、膜を付けて特徴的なうなりを加える例もあります。marimba/malimbambira/mbilatimbilaなどの語群は、言語によって木琴またはラメラフォンを指します。これらはコンサート・マリンバの未完成な前段階ではなく、それぞれ独立した生きた音楽体系です。

アフリカのマリンバ史も、植民地支配、強制移動、都市化、学校教育、ポピュラー音楽の中で変化を続けました。たとえば現在のジンバブエの学校マリンバは、1960年代初頭にクワノンゴマ音楽大学で複数のアフリカ音楽を参照して開発され、その後、現代の地域文化として定着しました。

アメリカ大陸のマリンバ

大西洋奴隷貿易はアフリカの人々を強制的に移動させ、楽器製作の知識や音楽実践もアメリカ大陸へ運ばれました。そこでのマリンバ文化は、アフリカ系ディアスポラの知識、先住民・ヨーロッパ系文化との接触、地域の素材、何世代にもわたる共同体の実践から形成されました。伝播の正確な経路には議論が残り、地域ごとに異なる歴史があります。

コロンビア南部太平洋岸とエクアドルのエスメラルダス県では、マリンバ・デ・チョンタの音楽がアフリカ系住民の伝統として、歌、踊り、儀礼、家族、土地と切り離せない生きた文化になっています。UNESCOはこれを無形文化遺産として登録しています。グアテマラとメキシコ南部では、先住民、ラディーノを含む社会生活、公共の場、国民文化を担う楽器となり、20世紀への転換期には半音を演奏できる二段鍵盤や合奏用の大型楽器が発達しました。

コンサート楽器への展開

コンサート・マリンバは、この歴史の別の枝であり、地域の伝統を置き換えるものではありません。20世紀初頭の米国では、シカゴのJ. C. Deagan社が、金属製共鳴管を備えた半音階マリンバの中心的な商業メーカーとなり、商用・コンサート用楽器の標準化に寄与しました。ただしDeaganだけが唯一の製作者だったわけでも、コンサート・マリンバを単独で発明したわけでもありません。その後、演奏家、作曲家、製作者の協働、とりわけ日本での安倍圭子をめぐる活動によって、低音域、5オクターブ楽器、独奏レパートリー、4本マレットの語法が大きく発展しました。

コンサート・マリンバの仕組み

音板と調律

音板の主要な曲げ振動がほとんど動かない「節」に近い位置へ紐を通すことで、音板は自由に振動できます。通常、低い音ほど音板は長く、幅広くなります。裏面の特定箇所を削ると、それぞれの振動モードを下げられます。製作者は基音と選択した上位モードの関係を整えながら、一枚ずつ音色をそろえます。現代のコンサート楽器では、音域の多くで重要な上位モードを基音のおよそ4倍、10倍に近づける設計がよく見られますが、音域やメーカーによって異なります。

同じ音板でも打つ位置と方法で、各モードの混ざり方は変化します。中央付近では一般に基音が十分に鳴り、吊り紐に近い節では反応が小さくなります。マレットの硬さ、重さ、巻き方、ストローク速度、打点が、アタックと音色を変えます。

共鳴管

コンサート・マリンバでは、通常それぞれの音板の下に共鳴管を置きます。音板のモードに近く調律した共鳴管は音の放射を増やします。その結果、よく通る音になる一方、減衰時間は短くなるという交換関係があります。低音域まで円筒状の閉管を用い、4分の1波長の直管では長すぎる部分を曲げる、折り返す、内部で延長する設計があります。一方、低音域の一部に、開口部と広い空洞を組み合わせた「ヘルムホルツ型」の共鳴管を使う設計もあります。商品上この名称で呼ばれる形は裾の広い箱型など複数あり、教科書的な理想形のヘルムホルツ共鳴器と完全に同じではありません。一台の楽器でも、低音部だけをヘルムホルツ型とし、その上の音域に別形状の管を組み合わせることがあります。たとえばヤマハYM-5100Aは、C16〜F21だけをヘルムホルツ型と明記しています。

こおろぎ社の公式沿革には、1980年のマリンバ1500へ裾の広いヘルムホルツ型共鳴管を採用し、1982年のバスマリンバ2000へ「世界で最初に開発」した量産型ヘルムホルツ型共鳴管を搭載したとあります。後年の米国特許文献も、この形状をKorogiが1980年代に導入したと独立に記述しています。したがって、コオロギを初期の商用導入者として位置づけることは裏づけられます。ただし「世界初」は、量産型についてのメーカー自身の主張として示します。

気温は共鳴管の調律を変え、湿度と気温は木製音板にも影響します。そのため、プロ用楽器の多くは低音共鳴管を調節できます。音程そのものを作るのは音板であり、共鳴管ではありません。共鳴管は音板にすでに存在する振動を強めます。

音域と配列

代表的なコンサート楽器には、4.3オクターブ(A2–C7)、4.5オクターブ(F2–C7)、5.0オクターブ(C2–C7)があります。これより小さい教育用や、さらに広い特殊な楽器もあります。二列の配列は白鍵・黒鍵に相当しますが、低音になるほど音板は幅広く長くなります。楽器の外形、音板幅、基準ピッチ、共鳴管の設計はモデルごとに異なります。

素材と責任

プロ用の木製音板には、ホンジュラス・ローズウッド(Dalbergia stevensonii)が多く使われます。別の価格帯ではパドックなどの木材が使われ、メーカー各社は、安定性、耐久性、屋外使用、希少木材への負荷軽減を目的とする合成・複合素材も提供しています。素材が違えば、打感、音の通り、倍音の配分、気候への反応、手入れ、価格も異なり、単純に同じものとはいえません。

Dalbergia stevensonii は、ワシントン条約(CITES)附属書IIの規制対象です。ローズウッド音板の楽器を購入するときは、樹種、合法的な由来、書類、海外渡航や転売時の規則を製作者・販売店へ確認すべきです。附属書IIは国際取引を規制する制度であり、一律の禁止ではありません。

マリンバを演奏する

2本のマレットで、旋律、オーケストラ・パート、多くの伝統音楽や合奏を演奏できます。4本では和音や独立した声部を扱え、交差型や独立型など複数のグリップがあります。作品によっては5本・6本、手、柄、弓、デッドストロークなども使われますが、楽譜の指示、メーカーの注意、音板の安全を優先します。

打った音板の音は自然に減衰するため、交互に打つロールで持続音のように聴かせます。音色は、強く打つことだけでなく、タイミング、ストロークの形、マレット選択、消音、音域間の動きから生まれます。合奏ではバランスも重要です。マリンバの音は明瞭に届く一方、厚いオーケストレーションには覆われます。

シロフォン、ヴィブラフォンとの違い

いずれも鍵盤打楽器ですが、異なる設計の系統を表す名称です。一般的なコンサート・シロフォンはマリンバより高音域で余韻が短く、明るいアタックになるよう設計されます。ヴィブラフォンは金属音板、ペダル式ダンパーを持ち、多くは共鳴管内の羽根をモーターで回します。コンサート・マリンバは通常、木または木に近い音板を持ち、サステインペダルを使わず、より低い音域と温かい響きを備えます。歴史・地域によって境界は変わるため、これは実用上の区別であって普遍的な法則ではありません。

手入れ

  • 音域と音板素材に合うマレットを使います。硬すぎるマレットは低音の木製音板を傷めることがあります。
  • ローズウッドを急激な湿度・温度変化、直射日光、暖房器具、屋外環境から守ります。
  • 使わないときはカバーを掛け、音板と共鳴管を清潔にし、吊り紐や異音を点検します。
  • 調律を判断する前に楽器を室温へなじませ、共鳴管はメーカーの指示どおりに調節します。
  • 運搬時は説明書どおりにフレームを持ち上げ、分解します。音板やレールを取っ手にしません。

現在のメーカー

マリンバは世界中の多くのメーカーが製造しており、市場も変化するため、ここに全てを挙げることはできません。コンサート用・教育用の現行製品を作るメーカーの一部として、AdamsBergeraultDeMorrow InstrumentsKolbergコオロギ(KOROGI)MalletechMarimba OneMusserSAITOヤマハなどがあります。

可能なら実際に聴き、弾いて選びます。音域、音板素材、基準ピッチ、共鳴管調節、フレームの安定性、高さと手の届き方、運搬性、部品供給、部屋の音響、予算は、ブランド名の一覧そのものより重要です。

出典・参考資料